皆さんこんにちは。鍼灸師の平尾です。
今回は私も担当することが多い美容鍼についてお話しようと思います。
美容鍼灸は薬剤を用いることがないため副作用のリスクが無く、また外科的な施術とは異なり腫れや痛みのダウンタイムがほとんどない、身体に優しい美容施術です。
ですが、鍼を身体に刺すという施術であるため、避けることができないリスクがあります。
それは、、出血や内出血を起こす可能性があるということです。
身体に鍼を刺すことによって、皮下組織には僅かな損傷が起こり、鍼で血管が損傷した際にその周辺に血液がにじみ出てきます。
にじみ出た血液が皮膚の外に出た場合は出血、皮膚内に留まった場合には内出血となります。
しかし、内出血は悪いことだけではありません。
私たちの身体には傷などのダメージを修復し、再生する働きが備わっており、これを創傷治癒(そうしょうちゆ)といいます。
出血・内出血した場所においても、血中に含まれる成分などの働きにより修復し、再生を促していきます。
出血や内出血が発生した場合、まず血小板が集まり、止血が始まります。
次に生体防御の役割を担う白血球や免疫系の一端を担うマクロファージの働きにより細菌などの侵入を防ぎ、組織を綺麗な状態に片付けます。
その後、繊維芽細胞の増殖を促す細胞成長因子(グロースファクター)の分泌が始まり、コラーゲンなどを含んだ肉芽組織の修復により、肌を新しい状態へと再生していきます。
(繊維芽細胞は、結合組織を構成する細胞の1つであり、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸といった真皮の成分を作り出します)
東洋医学などでも身体の状態に応じて、古くから行われている手技・技法の中には出血や内出血を伴うもの(刺絡、吸角など)もいくつかあり、流れの悪くなった血流を改善させ、より良い状態へと改善させるのにも用いられてきました。
私たち鍼灸師も施術の際、内出血を作らないように最善は尽くしていますが(特に美容鍼はお顔ですので)
内出血が発生した場合、見た目としてあまりよくないですが、傷の修復・肌の再生にはいい影響を与えてくれている!というデメリットのようでメリットのような、そんなお話でした。